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飲酒(ビール)の効用

循環器への効果

 Jカーブ効果の項にあるように米国、英国、日本等世界中の様々な地域でアルコールの飲酒量と全死亡率との関係を調べた研究によると、適度の飲酒者は全くお酒を飲まない人や大量に飲む人に比べ、長生きするとの結果が得られています。

その理由として、適度のアルコール摂取により虚血性心疾患(心筋梗塞や狭心症)などの循環器系疾患の発病が減るためと考えられています。

アルコールには、善玉コレステロール(HDL-C)を上昇させる作用、血小板の凝集を抑制する作用や、ストレスから解放する作用などのためとされていますが、適度な飲酒量は個人差はあります。ビールなら350ml缶で1日2~3本、日本酒では1合から2合といわれています。
更に1日に日本酒で3合以上飲む多量飲酒者は、虚血性心疾患による死亡率が逆に高いとの報告もあります。

しかし、適量飲酒というのは、単純に摂取アルコール量だけで決まる訳ではないという興味深い報告もあります。それは、アルコール摂取パターンが心血管疾患へ影響することを示唆する報告で、毎日少しづつ適度に摂取するパターンと週末に集中して摂取するパターンでは、同じアルコール摂取量であっても影響が異なるという結果が出ています(文献①)。

適度なアルコールが心血管疾患を予防するメカニズムについては、様々な説があり確立していませんが、適度なアルコール摂取に抗炎症作用があり、動脈閉塞や心臓発作を予防するという考えが、最も新しい説として注目されています(文献②文献③)。

虚血性心臓病*の死亡率とアルコール飲用頻度
*心筋梗塞、狭心症など

イラスト
文献①
Alcohol consumption and cardiovascular disease: differential effects in France and Northern Ireland.
The PRIME study.  P. Marques-Vidal Eur. J. Cardiovasc Prev Rehabil, 11, 336-343, 2004.
文献②
Alcohol consumption and inflammatory markers in older adults:
the Cardiovascular Health Study. K.J.Mukamal, Atherosclerosis, 173, 79-87, 2004.
文献③
Overall alcohol intake, beer, wine and systemic markers of inflammation in Western Europe: results from three MONICA samples (Augsburg, Glasgow, Lille).
A. Imhof, Eur. Heart. J., 25, 2092-2100, 2004.

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