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2024年は、欧米による金融引き締め、中国経済の不確実性等による海外経済の下振れリスク、そして各地の紛争などが世界的な経済活動に大きな影響を与える可能性があるなかで、国・地域ごとの経済環境を注視して日本経済への影響度をはかる必要があります。また国内においても社会経済活動の正常化が進む中で個人消費、インバウンド需要の拡大、国内投資の拡大など景気の持ち直しが期待される一方、円安や物価高に対する生活防衛意識のさらなる高まりも危惧されます。 ビール業界では「物流の適正化・生産性向上に向けた荷主事業者・物流事業者の取組に関するガイドライン」や「健康に配慮した飲酒に関するガイドライン」などに対応した活動を組み立てる必要があり、我々が直面している将来的な課題を再点検し、ビール業界及び酒類業界全体の健全な発展のために深化した諸活動に取組んでまいります。
WHOが掲げる「アルコールの有害な使用を低減するための世界戦略」について、国際機関から継続的に情報を得ることにより、今後展開されるアルコール関連政策へ積極的に関与してまいります。 また、国内における「第2期 アルコール健康障害対策推進基本計画」に基づき、20歳未満飲酒防止や女性の適正飲酒等のアルコールの有害な使用を低減させるための各種啓発活動に取組んでまいります。女性の適正飲酒では、新たに2024年春より30代女性をターゲットにしたプロジェクトを始動し、生活習慣病リスクを高める飲酒をしている女性に対して行動変容を啓発してまいります。 世界的にアルコールに対する規制の検討が進んでいます。また、国内では2024年春には厚生労働省の飲酒ガイドラインが発出される予定です。ビール業界はアルコール関連問題に自主的に対応していきながら、マーケティング活動を展開していくことが重要であると考えます。2024年は飲酒ガイドラインを踏まえた啓発活動内容の点検と方向性の確認、また純アルコール量の容器への表記の議論を深め、取組みを強化してまいります。
ビール酒造組合は「ビール製造業における景品類の提供の制限に関する公正競争規約」、「ビールの表示に関する公正競争規約」を適切に運用し、ビール酒造組合が主催する委員会や全国各エリアの支部調査員との合同会議を通じ、公正な競争環境づくりに引き続き努めてまいります。
ビール酒造組合は2026年以降のビール・発泡酒のさらなる減税を実現するために、財務省・国税庁・与野党・国会議員に酒税に関する要望を行います。要望実現の可能性を高めるために国会議員とのコミュニケーションを深め、業界市況や組合および加盟各社の活動に対する理解促進を図ります。消費者アンケート調査からの飲用動向や消費購買データからの2023年10月の酒税改正の影響分析など、消費者の実態を的確に把握したデータを用いて要望を行います。 「酒税事務等の合理化・簡素化要望」については、加盟各社から新規要望を募るとともに、継続中の要望事項に関しては、必要なデータ収集や事例調査を行ったうえで優先度を明確にし、酒中連へ提出いたします。また、国税庁とは適宜、要望事項検討の進捗状況を確認し、より効率的に要望の実現を目指します。 2023年10月の酒税改正で明らかになった課題の集約を行い、2026年10月酒税改正に向けてさらに効率良く税務事務が行えるよう活動を進めてまいります。
引き続き、経団連のカーボンニュートラル行動計画と循環型社会形成自主行動計画に参画し、CO2排出量削減・廃棄物対策に取組んでまいります。 CO2排出量削減については、カーボンニュートラル行動計画フェーズⅡ目標達成を目指し、Scope1,2では、加盟各社ビール工場での高効率設備導入や省エネルギー活動等を推進するとともに、新規技術の導入や再生可能エネルギーの活用も進めてまいります。Scope3の取組みとしては、今後もビール業界にとって影響が大きいカテゴリーである容器包装関係(アルミ缶や段ボール)や原料関係の業界に優先的にアプローチして課題を明確化し、互いに協働できる活動を進めていきます。 また、廃棄物対策につきましては、ビール工場での副産物や廃棄物の排出抑制と分別回収の徹底により、廃棄物再資源化率100%、使用済みプラスチックの有効利用率100%を維持・継続できるよう取組んでまいります。 これからもビール酒造組合は加盟各社と共に、SDGs、環境関連の取組みを通じて社会に貢献してまいります。
ビール酒造組合と加盟各社は、物流の2024年問題の解決に向けて、「物流の適正化・生産性向上に向けた荷主事業者・物流事業者の取組に関するガイドライン」に基づき自主行動計画を策定しております。この計画を関係団体の理解・協力を得て推進し、効率化のための新たな仕組みの構築や運用面の改善等、業界における物流課題の解決に取組みます。 物流インフラのツールとしてその重要性がさらに高まっているPパレに関して、パレット回収率に問題のある届け先への改善活動の実施と、流出構造の可視化を図ります。また、一般社団法人Pパレ共同使用会とも連携し、流通外からの回収活動や、不正使用防止に向けた啓発活動、法的対応を含め、Pパレの円滑な需給体制の構築に向けた取組みを継続してまいります。
ビール酒造組合と加盟各社は、原料から最終製品に至る迄さらなる品質の向上と安全性の確保に向けて取組んでまいります。特に、国産大麦やホップの品質向上に継続的に取組みます。国産大麦に関しては、気候変動や病害虫への対応を含め、醸造特性・農業生産性に優れたより良い大麦品種の選抜、普及に関係各所とともに取組んでまいります。 輸入麦芽では、海外製麦会社が生産性向上のため、ジベレリン酸を使用した麦芽の製造が今後は増加すると推測されます。現状でジベレリン酸を使用した麦芽の輸入が認められていません。輸入が認められれば、調達リスクの低減など品質安定化とコスト削減が期待されるため、輸入できるように加盟各社や関係各所と連携しながら進めていきます。 原料の委託研究では、大麦に関するテーマに2つ取組みます。1つ目は、輸入大麦高騰や物流混乱から国産大麦の注目度が高まっているため、国産大麦生産コスト構造の海外大麦主産地(欧州)との比較調査に取組んでいきます。比較調査は、今後の国産ビール大麦の調達・契約方法や育種目標の方針を検討するための基礎データとし、持続的な農業に貢献していきます。2つ目は、2022年度の共同研究より、水感受性が高いとされる大麦品種についてその性質に関与する領域があることを検出できたことから、得られた水感受性因子を遺伝子マーカーとして活用することを目指します。これにより、新品種育種において初期段階での優良系統の選抜が期待されます。 国産ホップに関しては、既存農薬とは作用機構の異なる2種類の除草剤を選定しましたので、新規登録に向けて試験を継続し、さらなる防除体系の構築、安定供給を目指してまいります。
国際技術委員会(BCOJ)活動、ビール醸造技術連絡会、安全や分析に関する勉強会等を通して、国内外のビール技術者に加えて、異業種の技術者との交流を促進することで、日本のビール製造技術・分析技術のさらなる向上や若手技術者の育成を図り、世界における日本ビールの存在感を高めてまいります。 『BCOJビール分析法』や『ビールの基本技術』の改訂については、引き続き執筆活動や更新内容確認を継続して行い、ビール技術者へ最新情報を提供できるよう活動を進めていく予定です。2024年5月にはEBC※1大会がフランス リールにて、また、2024年8月にはWBC※2がアメリカ ミネアポリスで開催されます。BCOJからも議長や委員が参加する予定であり、世界のビール業界を牽引するべく、活発に活動してまいります。 今後もビール技術者がビールの魅力を高め、お客様に新たな商品や価値の提案をしていけるよう、技術や情報を発信し、共有できる場を提供してまいります。 ※1 EBC European Brewery Convention(ヨーロッパにおけるビール分析法の統一を目的とする組織) ※2 WBC World Brewing Congress(世界醸造大会)
以上
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リリース/会見
専務記者会見
●岸野専務理事業界専門紙記者会見(2024年1月25日)
2024年は、欧米による金融引き締め、中国経済の不確実性等による海外経済の下振れリスク、そして各地の紛争などが世界的な経済活動に大きな影響を与える可能性があるなかで、国・地域ごとの経済環境を注視して日本経済への影響度をはかる必要があります。また国内においても社会経済活動の正常化が進む中で個人消費、インバウンド需要の拡大、国内投資の拡大など景気の持ち直しが期待される一方、円安や物価高に対する生活防衛意識のさらなる高まりも危惧されます。
ビール業界では「物流の適正化・生産性向上に向けた荷主事業者・物流事業者の取組に関するガイドライン」や「健康に配慮した飲酒に関するガイドライン」などに対応した活動を組み立てる必要があり、我々が直面している将来的な課題を再点検し、ビール業界及び酒類業界全体の健全な発展のために深化した諸活動に取組んでまいります。
▼(1)アルコール関連問題への取組み
WHOが掲げる「アルコールの有害な使用を低減するための世界戦略」について、国際機関から継続的に情報を得ることにより、今後展開されるアルコール関連政策へ積極的に関与してまいります。
また、国内における「第2期 アルコール健康障害対策推進基本計画」に基づき、20歳未満飲酒防止や女性の適正飲酒等のアルコールの有害な使用を低減させるための各種啓発活動に取組んでまいります。女性の適正飲酒では、新たに2024年春より30代女性をターゲットにしたプロジェクトを始動し、生活習慣病リスクを高める飲酒をしている女性に対して行動変容を啓発してまいります。
世界的にアルコールに対する規制の検討が進んでいます。また、国内では2024年春には厚生労働省の飲酒ガイドラインが発出される予定です。ビール業界はアルコール関連問題に自主的に対応していきながら、マーケティング活動を展開していくことが重要であると考えます。2024年は飲酒ガイドラインを踏まえた啓発活動内容の点検と方向性の確認、また純アルコール量の容器への表記の議論を深め、取組みを強化してまいります。
▼(2)公正取引推進への取組み
ビール酒造組合は「ビール製造業における景品類の提供の制限に関する公正競争規約」、「ビールの表示に関する公正競争規約」を適切に運用し、ビール酒造組合が主催する委員会や全国各エリアの支部調査員との合同会議を通じ、公正な競争環境づくりに引き続き努めてまいります。
▼(3)酒税に関する要望活動
ビール酒造組合は2026年以降のビール・発泡酒のさらなる減税を実現するために、財務省・国税庁・与野党・国会議員に酒税に関する要望を行います。要望実現の可能性を高めるために国会議員とのコミュニケーションを深め、業界市況や組合および加盟各社の活動に対する理解促進を図ります。消費者アンケート調査からの飲用動向や消費購買データからの2023年10月の酒税改正の影響分析など、消費者の実態を的確に把握したデータを用いて要望を行います。
「酒税事務等の合理化・簡素化要望」については、加盟各社から新規要望を募るとともに、継続中の要望事項に関しては、必要なデータ収集や事例調査を行ったうえで優先度を明確にし、酒中連へ提出いたします。また、国税庁とは適宜、要望事項検討の進捗状況を確認し、より効率的に要望の実現を目指します。
2023年10月の酒税改正で明らかになった課題の集約を行い、2026年10月酒税改正に向けてさらに効率良く税務事務が行えるよう活動を進めてまいります。
▼(4)環境への取組み
引き続き、経団連のカーボンニュートラル行動計画と循環型社会形成自主行動計画に参画し、CO2排出量削減・廃棄物対策に取組んでまいります。
CO2排出量削減については、カーボンニュートラル行動計画フェーズⅡ目標達成を目指し、Scope1,2では、加盟各社ビール工場での高効率設備導入や省エネルギー活動等を推進するとともに、新規技術の導入や再生可能エネルギーの活用も進めてまいります。Scope3の取組みとしては、今後もビール業界にとって影響が大きいカテゴリーである容器包装関係(アルミ缶や段ボール)や原料関係の業界に優先的にアプローチして課題を明確化し、互いに協働できる活動を進めていきます。
また、廃棄物対策につきましては、ビール工場での副産物や廃棄物の排出抑制と分別回収の徹底により、廃棄物再資源化率100%、使用済みプラスチックの有効利用率100%を維持・継続できるよう取組んでまいります。
これからもビール酒造組合は加盟各社と共に、SDGs、環境関連の取組みを通じて社会に貢献してまいります。
▼(5)物流効率化への取組み
ビール酒造組合と加盟各社は、物流の2024年問題の解決に向けて、「物流の適正化・生産性向上に向けた荷主事業者・物流事業者の取組に関するガイドライン」に基づき自主行動計画を策定しております。この計画を関係団体の理解・協力を得て推進し、効率化のための新たな仕組みの構築や運用面の改善等、業界における物流課題の解決に取組みます。
物流インフラのツールとしてその重要性がさらに高まっているPパレに関して、パレット回収率に問題のある届け先への改善活動の実施と、流出構造の可視化を図ります。また、一般社団法人Pパレ共同使用会とも連携し、流通外からの回収活動や、不正使用防止に向けた啓発活動、法的対応を含め、Pパレの円滑な需給体制の構築に向けた取組みを継続してまいります。
▼(6)原料に関する取組み
ビール酒造組合と加盟各社は、原料から最終製品に至る迄さらなる品質の向上と安全性の確保に向けて取組んでまいります。特に、国産大麦やホップの品質向上に継続的に取組みます。国産大麦に関しては、気候変動や病害虫への対応を含め、醸造特性・農業生産性に優れたより良い大麦品種の選抜、普及に関係各所とともに取組んでまいります。
輸入麦芽では、海外製麦会社が生産性向上のため、ジベレリン酸を使用した麦芽の製造が今後は増加すると推測されます。現状でジベレリン酸を使用した麦芽の輸入が認められていません。輸入が認められれば、調達リスクの低減など品質安定化とコスト削減が期待されるため、輸入できるように加盟各社や関係各所と連携しながら進めていきます。
原料の委託研究では、大麦に関するテーマに2つ取組みます。1つ目は、輸入大麦高騰や物流混乱から国産大麦の注目度が高まっているため、国産大麦生産コスト構造の海外大麦主産地(欧州)との比較調査に取組んでいきます。比較調査は、今後の国産ビール大麦の調達・契約方法や育種目標の方針を検討するための基礎データとし、持続的な農業に貢献していきます。2つ目は、2022年度の共同研究より、水感受性が高いとされる大麦品種についてその性質に関与する領域があることを検出できたことから、得られた水感受性因子を遺伝子マーカーとして活用することを目指します。これにより、新品種育種において初期段階での優良系統の選抜が期待されます。
国産ホップに関しては、既存農薬とは作用機構の異なる2種類の除草剤を選定しましたので、新規登録に向けて試験を継続し、さらなる防除体系の構築、安定供給を目指してまいります。
▼(7)技術力向上への取組み
国際技術委員会(BCOJ)活動、ビール醸造技術連絡会、安全や分析に関する勉強会等を通して、国内外のビール技術者に加えて、異業種の技術者との交流を促進することで、日本のビール製造技術・分析技術のさらなる向上や若手技術者の育成を図り、世界における日本ビールの存在感を高めてまいります。
『BCOJビール分析法』や『ビールの基本技術』の改訂については、引き続き執筆活動や更新内容確認を継続して行い、ビール技術者へ最新情報を提供できるよう活動を進めていく予定です。2024年5月にはEBC※1大会がフランス リールにて、また、2024年8月にはWBC※2がアメリカ ミネアポリスで開催されます。BCOJからも議長や委員が参加する予定であり、世界のビール業界を牽引するべく、活発に活動してまいります。 今後もビール技術者がビールの魅力を高め、お客様に新たな商品や価値の提案をしていけるよう、技術や情報を発信し、共有できる場を提供してまいります。
※1 EBC European Brewery Convention(ヨーロッパにおけるビール分析法の統一を目的とする組織)
※2 WBC World Brewing Congress(世界醸造大会)
以上