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会長記者会見

西田会長代表理事記者会見(2023年8月24日)

西田会長代表理事

本日はお忙しい中、ビール酒造組合会長代表理事会見にご出席賜り、誠にありがとうございます。
8月1日に、会長代表理事に就任いたしました西田でございます。
皆様方には、平素よりビール酒造組合の諸活動に対しまして、格別のご理解とご支援を賜り、心から御礼を申し上げます。就任にあたりまして、ビール酒造組合の主な活動についてご説明いたします。

(1)アルコール関連問題への取組み

 ビール酒造組合はWHOやアルコール関連問題の世界的な動向について、WBA※1やIARD※2の仲間から情報収集しています。国内では酒中連の一員として、アルコール関連の政策に意見・提言しています。ビール酒造組合は有害な飲酒を低減させるための取組を推進することで、酒類を製造・販売する企業としての社会的責任を果たし、国内外のアルコール関連の政策に関与していきたいと考えます。
 また、国内における「第2期 アルコール健康障害対策推進基本計画」に基づき、20歳未満飲酒防止や女性の適正飲酒等のアルコールの有害な使用を低減させるための各種啓発活動に取組んでまいります。
 ビール業界としてマーケティング活動を継続しつつも、アルコール関連問題にも自主的に対応していくことが重要であると考えます。今後も啓発活動の方向性、また純アルコール量の容器への表記やデジタル広告への配慮等の議論を深め、取組みを強化してまいります。

※1 WBA Worldwide Brewing Alliance 世界のビール組合連合組織
※2 IARD International Alliance for Responsible Drinking 責任ある飲酒のための世界連盟

(2)公正取引推進への取組み

 ビール酒造組合は「ビール製造業における景品類の提供の制限に関する公正競争規約」および「ビールの表示に関する公正競争規約」を自主的に定め、その適正な運用に向けて、ビール酒造組合が主催する委員会や全国各エリアの支部調査員との合同会議を通じ、公正な競争環境づくりに努めると共に、公正な取引を継続して推進してまいります。

(3)物流効率化への取組み

 ビール酒造組合の会員各社は、これまでも物流効率を高めるための対策を講じて商品の安定輸送に努めてきました。しかし、この先の物流環境を見据えれば、国内におけるドライバー不足はさらに深刻さが増すこと、人口減や高齢化の進展等によるビールの消費量の減少により輸送効率が悪化することが予測されます。さらにはカーボンニュートラルの取組みや国が推進する物流標準化など、我々が取り組むべき物流課題は多面的で難度が高いものであり、業界として課題解決に取り組む必要性が高いと考えます。
 ビール酒造組合は商品を安定的かつ効率的にお届けし続ける物流環境を構築するため、新たなシステムや仕組みを開発する中期的な取組みと現状における輸送効率の改善を軸にして、物流課題に対応していきます。また、環境への対応など社会的必要性の高い案件についても、継続して取り組んでまいります。
 来年4月からはトラックドライバーの時間外労働の上限規制が施行され、物流環境が一層厳しくなることが見込まれます。この環境変化に対応するための指針として、政府からは物流の適正化・生産性向上に向けたガイドラインが示されました。ビール酒造組合は、ガイドラインの実行をベースに、受注締め日から納品までのリードタイムの延長(D2)の推進や長時間待機・付帯作業の削減など、当面は商品の安定輸送を実現するための課題解決に重点を置いて取組みを進めます。
 物流課題の解決にあたっては、卸売店様との協力体制を深め、メーカー・卸・小売りのサプライチェーンの協力体制を発展させ、業界最適のサステナブルな物流環境の実現に努めます。
 物流インフラのツールとしてその重要性がさらに高まっているPパレについては、一般社団法人Pパレ共同使用会と連携し、Pパレの不正使用防止啓発活動や法的手段による対応を行うとともに、Pパレの円滑な需給体制の構築に向けた取組みを継続してまいります。

(4)酒税に関する要望活動

 平成29年度税制改正により、ビール・発泡酒・新ジャンル商品の酒税率は、段階的に見直され、2026年10月に11klあたり155,000円に統一されることになっています。ビールメーカー各社はこの酒税改正を踏まえ、中期的な対応を進めています。しかしながら、統一されるビール・発泡酒の税率は、他の酒類と比べ依然として格差があり、諸外国と比べても高いといえます。このような酒税改正後の税率構造を踏まえ、ビール酒造組合はビール発泡酒のさらなる減税を引き続き要望してまいります。

(5)環境への取組み

 ビール酒造組合は経団連の「カーボンニュートラル行動計画」と「循環型社会形成自主行動計画」に参画し、CO2排出量削減・廃棄物の再資源化に取組んでおります。
 「カーボンニュートラル行動計画」では、2030年目標について、Scope1,2におけるCO2総排出量を2013年比46%削減し、2030年CO2総排出量(目標値)を30.8万トンにする、と定めて活動を進めています。
 結果、加盟各社での様々な省エネ取組みにより、2021年CO2総排出量実績は39.5万トンとなり、基準年である2013年比で30.9%減、2030年CO2排出量目標値に対し進捗率67.1%でした。今後、同様なペースでCO2排出量を削減できれば2030年目標はクリアできる見込みです。
 しかしながらビール業界としての、最終的な目標は2050年カーボンニュートラル達成です。この目標を達成するには現状の省エネ活動の延長では厳しいと認識しております。加盟社と協力しながら、積極的な新規設備・技術導入の取組み等も進め、カーボンニュートラル達成に向け、努力してまいります。
 「循環型社会形成自主行動計画」については、加盟社の全ビール工場で発生する副産物や廃棄物の再資源化を徹底することで、2000年より再資源化率100%を継続しています。
 また、近年、世界的に課題となっているプラスチックの資源循環に関しても、目標として定めた2016年以降、全ビール工場で発生した廃プラスチックの有効利用率100%を継続しています。今後も引き続き、資源循環型社会実現に貢献できるよう、活動を進めてまいります。

(6)原料に関する取組み

 ビール酒造組合と加盟各社は、原料から最終製品に至るまでさらなる品質の向上と安全性の確保に取組みます。国産大麦に関しては、気候変動や病害虫への対応を含め、醸造特性・農業生産性に優れたより良い大麦品種の選抜、普及を関係各所と共に進めていきます。特に、育種については、ビール大麦育種に関する打ち合わせ会を定期的に開催するなど、産官が一体となって育種に取組んできたことで、今日の優良品種が栽培され、ビール類の原料に使用されています。今後も良質なビール原料、そして高い品質のビールを製造していくために、育種を続けていきます。国産ホップに関しては、農林水産省のご支援も頂いた上で、新規除草剤の評価・登録を進め、国産ホップのさらなる安定供給を目指していきます。

(7)技術力向上への取組み

 ビール酒造組合は国際技術委員会(BCOJ)活動、ビール醸造技術連絡会、安全や分析に関する勉強会等を通して、国内外のビール技術者に加えて、異業種の技術者との交流を促進することで、日本のビール製造技術・分析技術のさらなる向上や若手技術者の育成を図り、世界における日本ビールの存在感を高めてまいります。
 本年6月には、ASBC※3Meetingがアメリカ ピッツバーグで開催されました。BCOJからも議長や委員が参加し、世界のビール業界を牽引するべく、活発に活動してまいりました。BCOJ分析法については、新たな分析手法の追加を含めた改訂を行いビール技術者へ最新の情報を提供し、今後もビール技術者がビールの魅力を高め、お客様に新たな商品や価値の提案をしていけるよう、技術や情報を発信し、共有できる場を提供してまいります。

※3 ASBC American Society of Brewing Chemists アメリカ醸造科学者協会

以上

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