魅力的な商品の開発、美味しさの実現、安全の確保等に関する技術を業界全体で高めていくために、ビール酒造組合では「国際技術委員会(BCOJ:Brewery Convention of Japan)」を設置し、米国および欧州各学会の分析委員会への参加、加盟社協同での分析法の開発・学会発表を行っています。日本の研究成果は海外からも評価されており、昨年開催されたホップの香りに関する国際醸造シンポジウムに加盟社の研究者が招待され、そこでのプレゼンに対して多くの質問があるなど、我々の研究成果は海外の学会に欠かすことの出来ない存在となっています。
リリース/会見
会長記者会見
●髙島会長代表理事記者会見(平成30年8月23日)
8月23日、ビール業界に関わる各社記者にご参集いただき、髙島英也代表理事記者会見を実施しました。その要旨は下記のとおりです。
本日はお忙しい中、ビール酒造組合会長代表理事会見にご出席賜り、誠にありがとうございます。
8月1日に、会長代表理事に就任致しました髙島でございます。
皆様方には、平素よりビール酒造組合の諸活動に対しまして、格別のご理解とご支援を賜り、心から御礼を申し上げます。
就任にあたりまして、本年上期の市場概況とビール酒造組合の主な活動についてご説明致します。
本年1-6月は、ビール・発泡酒・新ジャンル計で前年比96.4%と厳しい結果となりました。
ビール、発泡酒は前年を下回っておりますが、新ジャンルにおいては5年ぶりにプラスに転じております。
次に、ビール酒造組合が取り組んでおります主な活動についてご説明致します。
▼1.ビール需要振興プロジェクト
本年で3年目となりますビール需要振興策「BEERTALK」の取り組みについてご説明致します。
ビール離れと指摘されることが多い若い世代、特に20歳から25歳の方々に「人と人とのコミュニケーションを豊かにする」という、ビール本来の価値を「BEERTALK」に込めて情報発信をしてまいりました。
本年の目玉企画であります「BEERTALK.TV」は、昨年よりも、ビールに関する情報を発信できる内容にしています。
ビール各社のビアホールを会場にして、おいしいビールを飲みながら、恋愛やSNS、将来の夢といった「20歳代の関心事」をビアトークしていただきました。その様子を番組として、7月4日から組合のホームページにて公開しご覧いただけるようにしております。
▼2.税制要望活動
平成29年度税制改正により、ビール・発泡酒・新ジャンルの税率は段階的に見直され、2026年10月に1KL当たり155,000円に一本化されることになりました。
一本化されるビール、発泡酒の税率は、他酒類と比べ依然として高い税率であり、同じ発泡性酒類に分類される「その他の発泡性酒類」が1KLあたり100,000円となることと比較しても、なお大きな格差があります。私たちは、引き続きビール・発泡酒のさらなる減税を要望してまいります。
▼3.公正取引の推進
ビール酒造組合は、「ビール製造業における景品類の提供の制限に関する公正競争規約」及び「ビールの表示に関する公正競争規約」を自主的に定め、その適正な運用に向けて、関係の部会運営や営業拠点でのヒアリング等を行い、公正な競争環境づくりに努めています。
▼4.適正飲酒に対する取り組み
適正飲酒に向けた取り組みについて、国際的な状況をご説明致します。
WHOは2013年5月にNCD(非感染性疾患)予防のためのアクションプランを発表し、アルコールの有害な使用の10%削減を目標に設定致しました。
また、国連では2015年9月に薬物乱用やアルコールの有害な摂取を含む、物質乱用の防止・治療の強化を目標に設定しています。
この様な国際的な動きを受け、世界の主要アルコールメーカーで構成されるIARD(アイアード=責任ある飲酒国際同盟)は2013年から2017年までの活動目標を5つの「コミットメント」という形で発表しています。(①20歳未満飲酒の削減 ②業界自主基準の強化と展開 ③消費者への情報開示促進と責任ある製品開発 ④飲酒運転の削減 ⑤有害飲酒削減に向けた小売業界への協力獲得)ビール酒造組合は2016年1月にIARDの賛助会員となり、これら5つのコミットメントに沿った取り組みを進めています。
WHOや国連のアルコール規制の動きを受け、国内では2016年5月31日に「アルコール健康障害対策推進基本計画」が閣議決定されました。
この基本計画の目標として、
① 生活習慣病のリスクを高める飲酒者の割合を男性13.0%、女性6.4%まで減少させること
② 20歳未満の飲酒をなくすこと
③ 妊娠中の飲酒をなくすこと
が設定されました。
ビール酒造組合は、これらの目標達成に繋がるような取り組みを行っています。
適正飲酒に対する新たな取り組みとして、ビール酒造組合では、昨年11月に女性の適量飲酒の啓発活動「ほど酔い女子PROJECT」を立ち上げました。
本プロジェクトは「女性には女性ならではの体の問題があること」や「自分自身の体質」を正しく理解して、お酒と上手に付き合ってもらうことを啓発する取り組みです。「いとうあさこ」氏を起用し、彼女の言葉で啓発するウェブ動画を作成、ユーチューブやフェイスブックで配信したところビール酒造組合HP史上最高のPVを記録するなど大きな反響をいただいております。
この取り組みは日本プロモーショナルマーケティング協会の第16回JPMプランニングソリューションアワード2018の社会貢献プロモーション企画部門において銀賞を獲得致しました。
また、業界を超えた取り組みとして、2017年3月にJR西日本様と連携し開始した「ホーム上での酔客事故ゼロ」の啓発活動を継続しております。
この活動では、JR西日本様管内の主要500駅での啓発ポスター掲出、及び主要路線での車内吊り広告の掲出を展開しています。
本年4月1日からは新しい素材に更新して、ポスター、中吊り広告を掲出しております。
▼5.物流効率化
物流を取り巻く環境は、年々厳しさを増していますが、ビール酒造組合では、一般社団法人Pパレ共同使用会加盟社106社と協働してPパレの回収強化を中心に活動を行っています。
2017年の未回収枚数は、37万枚と約13.5万枚悪化してしまいました。その原因を探りますと、エリア別では北海道や近畿圏での悪化が顕著で、その原因となる出荷先は特定されていますので、該当エリアのPパレ回収改善プロジェクトチームによる改善提案や、不正使用者に対する返却交渉を行っております。
Pパレの不正使用については、どのような使用が不正なのかを分かりやすくデザインしたポスターの掲出や、専門誌等への広告出稿といった啓発活動を行っております。
また、業界以外におけるPパレの不正使用は、農産物系の市場や農産地で約7割を占め、この対象への取組みが重要と考え、パレット返却交渉を継続しております。
具体的には、横浜市中央卸売市場に対して横浜市を通じて返却協力の交渉をおこない、現時点で53枚のパレットを回収、今後も随時回収をして参ります。また、築地市場でも同様の交渉をおこない、市場移転のタイミングで回収をする予定です。
▼6.環境への取り組み
ビール酒造組合では、環境への取組みとして経団連の低炭素社会実行計画に参画し、炭酸ガス削減目標を掲げ、取組んでいます。
ビール業界では2020年目標を炭酸ガス排出量51.1万トンとして取組を開始しました。その結果、液体燃料から都市ガスなど気体燃料への転換を進めたことにより、2016年は炭酸ガス排出量を46.5万トンまで削減、2020年目標を大きくクリアし、現在では2030年の目標達成に向け取組みを継続中です。
▼7.醸造・分析技術向上への取り組み
魅力的な商品の開発、美味しさの実現、安全の確保等に関する技術を業界全体で高めていくために、ビール酒造組合では「国際技術委員会(BCOJ:Brewery Convention of Japan)」を設置し、米国および欧州各学会の分析委員会への参加、加盟社協同での分析法の開発・学会発表を行っています。日本の研究成果は海外からも評価されており、昨年開催されたホップの香りに関する国際醸造シンポジウムに加盟社の研究者が招待され、そこでのプレゼンに対して多くの質問があるなど、我々の研究成果は海外の学会に欠かすことの出来ない存在となっています。
▼8.食の安全・安心
ビール酒造組合では、食の安全・安心に対する社会的責任を果たすため、原料である大麦・ホップから最終製品に至るまで、さらなる品質の向上と安全性の確保に努めております。
国産大麦につきましては、関係団体と連携し、育種、生産、購入まで一連の品質向上のための検討会を開催しており、この検討会は運営開始から今年50周年を迎えました。この検討会において、本年はビールの香味耐久性向上に優れた特性を持つ新品種「ニューサチホゴールデン」が本格的に普及、生産されることが決まりました。
また、国産ホップについては、昨年は岩手県農業研究センターのホップ病害虫防除技術研究に助成を行い、この研究成果が今年の北日本病害虫研究発表会で論文発表されました。このような研究の取り組みは、岩手県をはじめ秋田県、青森県などで生産される国産ホップの病害虫被害低減に貢献しています。
このような取り組みとともに、お客様への適正な商品情報提供にも努めてまいります。
以上