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会長記者会見

布施会長代表理事記者会見(平成29年8月24日)

布施会長代表理事

8月24日、ビール業界に関わる各社記者にご参集いただき、布施会長代表理事記者会見を実施しました。その要旨は下記のとおりです。

 本日はお忙しい中、お越しいただき誠にありがとうございます。
8月1日に、ビール酒造組合の会長代表理事に就任いたしました布施でございます。
 皆様方には、平素よりビール酒造組合の諸活動に対しまして、格別のご理解とご支援を賜り、心から御礼を申し上げます。
 就任にあたりまして、本年上期の市場概況とビール酒造組合の主な活動についてご説明いたします。
 本年1-6月は、ビール・発泡酒・新ジャンル計で前年比98.7%と厳しい結果となりました。
 ビールは昨年上半期に2年ぶりの増加となりましたが、本年は98.6%と再び前年割れとなりました。
発泡酒は97.6%と昨年に続いて前年割れ、新ジャンルも99.3%と4年連続の前年割れとなりました。
 次に、ビール酒造組合が取り組んでまいります主な活動につきましてご説明いたします。

1.ビール需要振興プロジェクト

 昨年7月に発表いたしましたビール需要振興策「BEER TALK」の取組みについてご説明いたします。
昨今、ビール離れと指摘されることが多い若い世代の方達に、ビールの持つ人と人とのコミュニケーションを豊かにするという本来的価値を「BEER TALK」に込めて情報発信してきました。情報発信の核となる「BEER TALK」スペシャルサイトを本年4月にリニューアルし、見やすく・操作しやすくいたしました。毎週水曜日に新しい情報を配信して、サイトの鮮度維持とお客様の再来訪を図っています。
 「BEER TALK」版ウソ発見器アプリのホンネセンサーの開発・配信、SNSの5媒体で同時配信を行う「LIVE! BEER TALK」、オープンキャンペーン等を展開しています。
 LIVE! BEER TALKはタワーレコード様との協働で、7月19日~21日に実施しました。20歳~25歳のターゲット層に人気があり、SNSフォロワーも多く、ビール好きのアーティストに出演いただきました。
 普段なかなか聞くことの出来ないメンバー間の内輪話等を「BEER TALK」スペシャルサイト掲載のレシピ等をからめながら、アーティストの皆さんがビールを片手に本音を語り、ビールと音楽の高い親和性もあり、大いに盛り上がりました。
 LIVE! BEER TALKは、TwitterやFacebookをはじめ5つのSNSに同時配信し、お客様がお好きなSNSから楽しむことができる仕組みとしました。
 また、ビアトークサイトにおける事前告知の他、タワーレコード様のサイトや出演アーティスト自身による情報発信等、多元的に情報発信を行いました。この3日間のビアトークサイトへのアクセスは41千PVと飛躍的に増加しました。

2.税制改正要望活動

 「平成29年度税制改正」において、ビール酒造組合が長年要望してきましたビールの減税が実現することは、大きな前進と捉えています。
 しかしながら、発泡酒と新ジャンルは増税となり、ビール類の税率は1KL当たり155,000円となります。このビール類の酒税税率は他の酒類と比べて、依然として高いことから、今後もビール類の減税要望活動を実施していきたいと考えています。
 一方では、ビールの定義の見直しにより、使用できる副原料の幅が広がりますので、お客様に新しい提案をし、需要拡大につなげたいと考えています。

3.公正取引の推進

 ビール酒造組合は、ビール製造業における景品類の提供の制限に関する公正競争規約、及び、ビールの表示に関する公正競争規約を自主的に定め、その適正な運用に向けて、関係の部会運営や営業拠点でのヒヤリング等を行い、公正な競争環境づくりに努めています。
 ビール業界だけでなく、各業界では公正取引協議会を組織し、公正な競争環境づくりに努めています。その公正取引協議会の連合体として78団体が加入する「公正取引協議会連合会」が組織されており、私が本年7月より、会長職を務めています。

4.適正飲酒に対する取り組み

 適正飲酒に向けた取り組みについて、国際的な状況をご説明いたします。WHOは2013年5月にNCD(非感染性疾患)予防のためのアクションプランを発表し、アルコールの有害な使用の10%削減を目標に設定いたしました。また、国連では2015年9月に薬物乱用やアルコールの有害な摂取を含む、物質乱用の防止・治療の強化を目標に設定いたしました。この様な国際的な動きを受け、世界の主要アルコールメーカーで構成されるIARD(責任ある飲酒国際同盟)は2013年から2017年までの活動目標を5つの「コミットメント」という形で発表しました。(①未成年者飲酒の削減 ②業界自主基準の強化と展開 ③消費者への情報開示促進と責任ある製品開発 ④飲酒運転の削減 ⑤有害飲酒削減に向けた小売業界への協力獲得)ビール酒造組合は2016年1月にIARDの賛助会員となり、これら5つのコミットメントに沿った取り組みを進めています。
 WHOや国連のアルコール規制の動きを受け、国内では平成28年5月31日に「アルコール健康障害対策推進基本計画」が閣議決定されました。この基本計画の数値目標として、

 ① 生活習慣病のリスクを高める飲酒者の割合を男性13.0%、女性6.4%まで減少させること
 ② 未成年者の飲酒をなくすこと
 ③ 妊娠中の飲酒をなくすこと

 が設定されました。ビール酒造組合はこれらの目標達成につながるような取り組みを行っています。

 適正飲酒に対する取り組みとして、ビール酒造組合は初めて他業界と連携した取り組みを実施いたしました。
JR西日本様は「ホーム上での事故ゼロ」に取り組んでおり、その中で、お酒に酔った方による駅ホームでの事故が多いことから、両者で連携した啓発活動を実施しました。今回は、JR西日本様の主要500駅で1年間という長期のポスター掲出、及び、主要路線の車内吊り広告を掲出いたしました。広告出稿の効果検証として、JR西日本様が実施しました、約1万人の意識調査によりますと、約90%の方が、ポスターを見てホームの危険性を理解し、約80%の方が、体調不良や酔った方を見て、見守った、駅員に知らせた、声を掛けた、と実際に行動に移されたと回答いただいております。

 続きまして、平成17年から展開しています未成年者飲酒防止の取り組みをご紹介いたします。
 本年春の展開は、「きっぱり断る!STOP!未成年者飲酒」というメッセージを活用し、全国8エリアで駅構内のポスターボードや車内吊りの掲出、東京・大阪でのデジタルサイネージの展開を継続実施しました。また、未成年者の利用者が多いスマホアプリで未成年者飲酒防止啓発広告も継続実施しました。本年5月に実施いたしました調査によりますと、手のひらマークと呼んでおります「未成年者飲酒防止マーク」の認知率は、全体で90%を超え、特に未成年者においては、95%を超える非常に高い認知率となっています。
 続いて、平成14年から実施している未成年者飲酒防止ポスター・スローガン・学校賞の取り組みです。
中学生や高校生自らが未成年者の飲酒に対するリスクについて考え、その思いをポスターやスローガンで表現いただいたり、学校単位での取り組みを応募いただいていました。本年は、「未成年者飲酒防止教育”学校コンクール”」と名称を変え、学校全体、地域を巻き込んでより多くの方に未成年者の飲酒防止に向き合い、考える機会にしていただきたいとの思いで内容も刷新いたしました。
 未成年者飲酒防止教育ツールとして開発いたしましたビールすごろくについてご紹介いたします。未成年者飲酒が成長過程の体に及ぼす悪影響や、自分の将来を変えてしまいかねない危険性だけでなく、大人になれば適正飲酒によるお酒の良さといった、お酒に関するプラス面、マイナス面を正しく理解していただくために開発いたしました。誰もが知っている「すごろく」形式にし、気軽に遊びながら学べるようにしています。
本年1月に全国の小学校、中学校、高等学校、合計38,000校へ、116,000部を配布いたしました。全国から、3,000部を超える追加の要望を頂戴しております。また、同封したアンケートも、全国80校から回答いただき、約70%の学校から「わかりやすく役に立った」と評価いただいています。
 女性に対する適正飲酒啓発活動につきましては、「マイナビウーマン」のWebコンテンツに情報発信を行い、11月のアルコール関連問題啓発週間(11月10日~11月16日)にあわせ、「お酒のたしなみ美人になる秘訣」をテーマにイベントを開催いたしました。本年は、より多くの方に情報に接していただけるように内容を刷新する予定です。また、平成27年3月からスマートフォンアプリを活用した妊産婦に対する飲酒防止の啓発を実施しています。

5.物流効率化

 Pパレ共同使用会加盟社は現在106社まで拡大していますが、加盟社全体のPパレ出荷枚数は平成28年では、43,411千枚と平成20年に比べ約8,000千枚増加しています。各年のPパレ回収率は99.5%前後で推移しています。この数値は高いように感じられると思いますが、未回収の実枚数は直近2年で約240千枚となっています。これを金額換算しますと、約12億円が流出していることとなります。
 この大きな未回収数を削減する対策の一つとしてPパレ不正使用防止の啓発活動を継続して実施しています。本年は啓発広告の内容を変更し、どういう使い方が不正使用にあたるのかをわかりやすくイラストで表現しました。青果市場や農産地での不正使用が多いことから、日本農業新聞に新たに出稿いたしましたところ、その広告が審査委員長特別賞を受賞いたしました。
 パレット未回収数の削減の手段として、悪質な不正使用者に対しては、法的措置を取っています。昨年は2件実施し、いずれも和解により、約1万枚のパレットを回収いたしました。現在は法的措置を1件すすめています。また、得意先においてもパレットを園芸品やお菓子の陳列台として使用するといった不正使用の実態があり、こちらについては粘り強く交渉を行い、約1,600枚のパレットを回収できる見込みです。今後も不正使用者に関しては、法的措置を含めた対応を進めてまいります。

6.環境への取り組み

 ビール酒造組合では、日本経団連の「低炭素社会実行計画」と「循環型社会形成自主行動計画」にすべての加盟社が参画し、CO2削減目標・廃棄物再資源化目標を掲げ、取り組んでいます。
 低炭素社会実行計画では、ビール業界の2020年目標「CO2排出量51.1万トン」に対し、2015年度の実績は47.3万トンとなり、目標を達成しました。また、2014年に設定した2030年目標につきましては、CO2排出量46.3万トンとしており、生産設備のさらなる高効率化や熱回収の促進、物流上の対応を通じて引き続き削減に取り組んでまいります。
 循環型社会形成自主行動計画では、加盟社の全ビール工場で発生する副産物や廃棄物について、再資源化を徹底することで、2000年より再資源化率100%を継続しています。

7.国際技術委員会(BCOJ:Brewery Convention of Japan)

 魅力的な商品の開発、美味しさの実現、安全の確保等に関する技術を高めていくために、ビール酒造組合では「国際技術委員会(BCOJ:Brewery Convention of Japan)」を設置しています。米国および欧州各学会の分析委員会への参加、加盟社協同での分析法の開発・学会発表を行っており、本年は5月14日~18日にはスロベニアで行われたEBC(European Brewing Convention)、6月4日~7日にはアメリカのフロリダで行われたASBC(American Society of Brewing Chemists)に参加いたしました。
 また、加盟社による海外学会発表の国内での再演や招待講演からなる年次大会も実施しており、本年は11月9日、10日の両日、永田町の星陵会館にて開催いたします。こうした活動を通じて国内外の技術者同士の交流を進めながら、世界最先端のビール醸造技術・分析技術の開発に引き続き取り組んでまいります。

8.安全・安心

 ビール酒造組合では、原料である大麦・ホップから最終製品にいたるまで、さらなる品質の向上と安全性の確保を重要課題の1つとして取り組んでいます。
 食品表示法が2015年4月に施行となり、ビール類において変更が必要な表示内容について検討を進めています。また、2016年より加工食品の原料原産地表示制度に関する検討がなされ、酒類を含む全ての加工食品について原料原産地表示が義務付けられる予定です。現在、具体的な表示内容等について検討を進めています。今後もお客様に安全で魅力的な商品をお届けできるよう、加盟各社とともに取り組んでまいります。

以上

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