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リリース/会見

専務記者会見

友野専務理事業界専門紙記者会見(平成27年1月30日)

 本日はお忙しい中、ご出席いただきまして誠にありがとうございます。
また皆様方には、平素よりビール酒造組合の諸活動に対しまして格別のご理解とご支援を賜り心から御礼を申し上げます。

 昨年の日本経済は、4月の消費税増税に伴う駆け込み需要の反動減や夏場にかけての天候不順などから、その回復の動きは鈍いものとなりました。本年は、消費税増税の反動減から脱却して経済を再生するとともに、財政再建に向けて取り組んでいく必要があります。
 こうした状況の中で、平成26年度のビール課税移出数量は、2,717千kl、前年比99.0%となりました。同期間の発泡酒は776千kl、前年比104.4%、新ジャンルは1,914千kl、前年比95.6%、3ジャンル合計では5,407千kl、前年比98.5%となり、前年を下回る結果となりました。

 それでは、本年、ビール酒造組合が注力していく活動について、以下の通り述べさせていただきます。

(1)税制要望活動

 昨年12月30日に発表された平成27年度税制改正大綱に、「酒税については、同一の分類に属する酒類間における税率格差が、商品開発や販売数量に影響を与え、それがひいては、酒税の減収にもつながっている。このため、類似する酒類間の税負担の公平性の観点や厳しい財政状況、財政物資としての酒類の位置づけ等を踏まえ、同一の分類に属する酒類間における税率格差を縮小・解消する方向で見直しを行うこととし、速やかに結論を得る。その際、税率構造の簡素化や各酒類の定義の見直し等も検討する。また、平成26年6月に、アルコール健康障害対策基本法が施行されたことにも留意する」と記載されました。いよいよ28年度に改正するという、スケジュール感が明示されたものと理解しております。

 消費税の再増税の時期は延ばされましたが、本年も基本的な要望事項はかわりません。ビール類の消費は、平成26年にはピーク時だった平成6年の3/4に減少しており、総需要を回復するためにも、ビール・発泡酒・新ジャンル商品に課せられた酒税の大幅な減税は、ビール業界にとって重要な課題であります。
 昨年、ビール酒造組合は「発泡酒の税制を考える会」との連名で、要望書を作成し、国会議員への陳情、財務省や与野党へのヒアリングでの説明などで、業界の意見をお伝えしてまいりました。また、例年通り10月には飲用動向調査結果をリリースし、減税要望を訴えました。
 ビール酒造組合は消費者の皆様のご期待に応えるためにも、引き続き酒税の減税要望活動を行ってまいります。

(2)公正取引の推進

 ビール酒造組合は、各社自主ガイドラインの遵守体制の整備と的確な運用を促進するとともに、国税庁・公正取引委員会発出のガイドライン等の周知を図っております。
 また、加盟各社も、関係省庁指導のもと、「ビールの表示に関する公正競争規約」「ビール製造業における景品類の提供の制限に関する公正競争規約」を遵守しております。
 昨年は5~6月、全国8ヶ所にて合同支部調査員会を開催し、「公正な取引の推進」「優越的地位の濫用問題」「労務提供問題」を中心にヒアリングと意見交換を行いました。
 引き続き、市場実態の把握に努めながら、公正な取引の推進に取り組んでまいります。

(3)適正飲酒に対する取組み

 WHOでは、2010年5月に採択した「アルコールの有害な使用を低減するための世界戦略」の推進に取組んでいます。
 2013年5月に開催されたWHO総会において、目標については「アルコールの『有害な使用』の最低10%削減」に、指標については全加盟国一律には設けず、①成人1人あたりの年間純アルコール消費量、②成人の一時的な多量飲酒の傾向、③成人の飲酒に起因する障害・疾病の発生率、の3項目から各国が国情に応じて設定することとなりました。
 それを受けて、ビール酒造組合が賛助会員として加盟するGAPG改めIARDでは、酒類業界の立場からWHOの世界戦略実現に貢献すべく、酒類業界が発表した「コミットメント」を実行しています。骨子は①未成年者飲酒の低減、②マーケティング自主基準の強化、③消費者への情報提供と責任ある製品開発、④飲酒運転の低減、⑤小売店との連携の5つです。  ビール酒造組合では、この業界コミットメントを推進することにより、WHOアルコール世界戦略に貢献し、アルコールの有害な使用の低減に取り組んでまいります。

 平成17年にスタートした未成年者飲酒防止の啓発活動である「STOP!未成年者飲酒プロジェクト」を本年も4月と12月に全国9エリアで展開してまいります。昨年12月には、新たに全国の主な大学の食堂にもポスターを掲示し、強力に未成年者飲酒防止に向けたメッセージを発信しました。またコンビニエンスストア・スーパーマーケット・カラオケ業界など小売店・業務店からもご協力をいただいております。今後も創意工夫を重ね、より効果的なプロジェクトとなるよう展開してまいります。
 次に、 「未成年者飲酒防止ポスター・スローガン・学校賞募集キャンペーン」についてですが、このキャンペーンは平成14年からスタートし、本年で14回目を迎えます。このキャンペーンは、中学生や高校生自身がポスターやスローガンを制作することで、未成年者飲酒防止に対する意識を高めることを目的としています。昨年11月23日に都内で表彰式を実施したほか、本年2月に、審査委員長の東ちづるさんに学校賞を受賞した広島県呉市立広南中学校、京都府立命館宇治高等学校を訪問していただき、講演会を開催する予定です。
 加えて昨年は、「未成年者飲酒防止ポスター・スローガン・学校賞募集キャンペーン」の認知理解を目的に、新たな取り組みとして、養護教諭を対象にした研修会を実施しました。授業での指導や保護者との連携・対応時に盛り込んでもらうことを見据えながら、キャンペーンの参加促進を図り、2月に東京、8月に東京、大阪で計3回開催しました。
 また、担当教諭の皆様が、学校教育の現場で未成年者飲酒防止指導により取り組みやすくするため、以前から要望が強かった教材ツールとして、DVDと指導手引書を制作しました。DVDについては、未成年者飲酒防止ポスター・スローガン・学校賞募集キャンペーン応募者や、学校教育関係者などから要望があった場合、無償で提供しています。また、このDVDについては、ビール酒造組合のホームページにもデータでアップしており、より多くの方に視聴してもらうことを推進しています。

 健康増進法に基づき、平成24年7月に策定された「健康日本21(第2次)」では、生活習慣病発症リスクを高める量を飲酒している者の減少と未成年者・妊婦の飲酒の防止について目標値を設定しています。ビール酒造組合では、昨年2つの新たな取組みを開始することで、女性の適正飲酒についても推進しています。ひとつは、産婦人科導入実績No.1診療予約システムのインフラを使った新しいデジタルサイネージである「アットリンクビジョン」を活用した取組みです。産婦人科の待合室に設置されたモニターにて、120秒のCMが7~40分間隔で放映されるシステムになっており、妊産婦に対する深い理解促進を図っていきます。
 もうひとつの女性の適正飲酒の啓発活動としては、平成26年11月7日~12月4日の1ケ月間行ったマイナビウーマンのWebプロモーションの実施です。これから結婚、出産を経験していくであろう20~30代の女性をターゲットに、お酒にまつわる失敗エピソードやアンケートを絡めながら、適正飲酒と不適切な飲酒による弊害について啓発していくタイアップ企画となっており、11月10日~16日のアルコール関連問題啓発週間に合わせて展開しました。

 ビール酒造組合及び加盟各社は適正飲酒に関わる啓発活動について、継続的に取組んでいます。啓発冊子の製作と配布はその一環ですが、平成24年12月に従来加盟社個々で実施していたものを共通化し「適正飲酒のススメ」を制作しました。昨年はこれに「女性の飲酒」の項目を加えて刷新し、本年より改訂版を順次配布する予定です。この冊子は、一年間で約25万部を成人式や入学・就職などの節目の時期に教材として配布し、活用いただいております。今後もさまざまな学習の機会に幅広くご利用いただきたいと考えております。

 平成25年12月7日に成立した「アルコール健康障害対策基本法」が、平成26年6月に施行されました。その推進基本計画を作成するアルコール健康障害対策推進会議の連絡調整に際して意見を述べる「アルコール健康障害対策関係者会議」も設置され、ビール酒造組合はその委員に任命されました。会議は、10月31日、12月12日、本年1月28日に開催され参加しました。
 またアルコール関連問題啓発週間(11月10日~16日)に、内閣府主催の「アルコール関連問題啓発フォーラム」が東京と大阪で開催され、ビール酒造組合も参加しました。

 ビール酒造組合では、大学や酒類総合研究所と適正飲酒の効果の実証実験に取り組んでいます。「適正飲酒のJカーブ効果」は多くの疫学調査で確認されているものの、実験で証明されたものはほとんどありませんでした。そうしたなかで、広島大学の加藤範久教授、酒類総合研究所との共同研究では、マウスを使った実験で、適正飲酒に行動や皮膚などの老化を防止する効果が認められました。
 今後も、共同研究を推進し、適正飲酒の効果を客観的に示していきたいと考えています。

(4)一般社団法人Pパレ共同使用会の取組み

 ビール4社は、平成4年からビール用パレットの共同使用と無選別回収を開始し、お得意先様や物流事業者様も含めたパレット利用者の物流効率化と環境負荷の軽減に努めてまいりました。そして、一昨年3月にはビール4社を中心に、「一般社団法人Pパレ共同使用会」を設立し、昨年6月には共通受払システムと指定伝票を導入いたしました。本年は、パレットの流通実態の見える化とともに、共同使用会として回収促進と不正使用防止の強化に取り組んでまいります。
 一昨年の法人設立に加え、今回のPパレ指定伝票とPパレ共通受払いシステムの導入により、Pパレ共同使用会への加盟希望や問合せが増加しております。一昨年11月時点の加盟社は60社でしたが、現在では84社になっており、更に加盟のお問合せやご希望を頂戴しております。今後もパレットの100%回収を目指して引続き取り組んでまいります。

(5)環境問題への取組み

 ビール酒造組合は、日本経団連の低炭素社会実行計画と環境自主行動計画に参画し、CO2削減目標と廃棄物対策目標を掲げ、取り組んでいます。
 低炭素社会実行計画では、2020年目標を「2020年のBAU(Business as Usual;対策を取らなかった場合の予測値)56.5万トンより、電力排出係数による変動を除いた部分で5.4万トン削減した51.1万トン」として取組を開始しており、2014年度は初めての集計を行いました。2013年度のCO2排出量は49.2万トンとなり、目標としていた51.1万トンをクリアしました。また2014年には経団連から2030年目標策定の要請があり、11月に策定・提出しています。
 環境自主行動計画の「循環型社会形成編」では、加盟社の全ビール工場で発生する副産物や廃棄物について再資源化を徹底することで、2000年以降再資源化率100%を継続しています。

(6)国際技術委員会(BCOJ:Brewery Convention of Japan)

 魅力的な商品の開発、美味しさの実現、安全の確保等に関する技術的な知見を高めていくために、ビール酒造組合では「国際技術委員会(BCOJ)」を設置しております。 分析法の開発・統一、米国および欧州の各分析委員会との情報交換を行うとともに、加盟各社による海外学会での発表を国内で再演する年次大会も開催しております。
 こうした活動を通じて、世界最先端のビール醸造技術・分析技術の開発に引き続き取組んでまいります。

(7)安全・安心

 ビール酒造組合では、原料である大麦・ホップから最終製品にいたるまで、さらなる品質の向上と安全性の確保を重要課題と捉えて活動しております。
 平成25年6月に公布された食品表示法は、今年施行される予定で、酒類もその対象となっております。 こうした法律を遵守すると共に、致酔飲料として規定されてきた様々なルールを尊重する事で、お客様に安全な商品をお届けできるよう加盟各社とともに取組んでまいります。

 以上のように、ビール酒造組合は、私たちを取り巻く様々な課題に向き合い、業界全体と加盟各社の健全な発展に向けて、迅速かつ適切に対応してまいります。

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