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リリース/会見

専務記者会見

友野専務理事冬季記者会見(平成25年1月22日)

日頃よりビール酒造組合の諸活動に対しまして格別のご理解とご支援を賜り
心から御礼を申し上げます。
本年度の組合の主な活動について順次ご報告申し上げます。

平成24年の市場動向

 昨年の日本経済は震災復興による国内需要の下支え等があり、穏やかな回復の兆しもみえましたが、長引く円高や欧州を中心とした世界経済の減速などのマイナス影響がありました。

 こうした状況の中で加盟各社は、年初より活発なマーケティング活動を展開し、ビールの更なる魅力を訴えるとともに、新製品開発や、新たな価値提案に取組みましたが、結果として平成24年のビール課税移出数量は、2,791千kl、対前年比99.7%となりました。同期間の発泡酒は793千kl、前年比92.1%、新ジャンルは1,963千kl、前年比101.1%、3ジャンル合計では5,546千kl、前年比99.0%となりました。

 昨年12月の衆議院選挙は記憶に新しいところですが、新たな政治の枠組みの中でデフレからの脱却と経済成長への取組みが始まっております。改めて震災からの復興に力点をおき、次世代育成策やエネルギー政策の策定も進められるものと考えられます。また社会保障と税の一体改革という重要なテーマもあります。ビール業界も前向きに様々な課題に取組んでまいります。

税制改正要望

 ビール」「発泡酒」「新ジャンル商品」の酒税は、他の酒類と比較して、極めて高くなっています。アルコール分1度1リットル当たりの酒税額を比較すると酒類間の不公平が明白であり、特にビールは他の酒類の4倍以上と群を抜いて高額です。

 また日本のビール・発泡酒・新ジャンル商品の酒税額は国際的に比較して極めて高くなっています。ビールを例にとると、ドイツ・フランスの15倍、アメリカの14倍となっています。

 昨年「社会保障と税の一体改革法案」が成立し、消費税は2014年4月に8%へ、2015年10月に10%に引き上げられることが決まりました。

 現在の酒税が変わらないまま消費税率が10%に引き上げられた場合、ビール・発泡酒・新ジャンル商品の愛飲者の税負担は現在よりも1,300億円以上増えることになります。消費者の皆様のご期待に応えるためにも、消費税増税時を最大のヤマ場と捉え、引き続きビール、発泡酒、新ジャンル商品に課される酒税の減税要望を精力的に行っていきます。

公正取引・市場問題

 ビール酒造組合加盟各社は、平成18年に国税庁から発出された「酒類に関する公正な取引のための新指針」に則り、自社ガイドラインを策定するとともに社内の遵守体制を整備しております。また、平成21年12月に公正取引委員会から発出された「不当廉売に関する独占禁止法の考え方」に示された酒類の取引に関する考え方にも十分配慮し、公正取引の推進に真摯に取組んでおります。

 昨年もメーカー、卸、小売の各層に酒類の取引状況等実態調査が実施されておりますが、ビール酒造組合といたしましても、支部調査員会でのヒアリングを通じて公正取引の推進に寄与してまいります。

適正飲酒への取り組み

 まず国際的な動きに関して確認いたします。

 昨年10月8日~9日、ワシントンDCにて、ICAP主催の大規模なカンファレンスが開催されました。2010年に採択されたWHOのアルコール世界戦略への業界の貢献状況、今後の活動課題がテーマです。

 参加者は業界から100名、政府・保健関係者100名、NGO・マスコミ関係者100名、合計300名という大規模なものでした。 ビール酒造組合からは、主催者からの要請により、世界的に評価の高い「「STOP!未成年者飲酒プロジェクト」について発表しました。

 このカンファレンスの最後に、GAPGがWHOのアルコール世界戦略へ貢献していくための決意を「コミットメント」という形で発表しました。5つの柱は (1)未成年者飲酒の低減 (2)マーケティング業界自主基準の強化・展開、(3)消費者への情報開示促進と責任ある製品開発 (4)飲酒運転の低減 (5)有害な飲酒の削減に向けた小売業界の協力獲得、です。2013年以降、国内においてもこのコミットメントに沿った活動を展開してまいります。

 WHOでは、2010年5月に採択した「アルコールの有害な使用を低減するための世界戦略」の推進に取組んでいます。

 一方で国連では、2011年9月のハイレベル会合でのNCD(非感染性疾患)の予防と統制に関する政治宣言を受けて、WHOは2012年内に目標と指標を含む包括的なモニタリングの枠組みを準備することになりました。アルコールについてもNCDのリスク要因の1つとして捉えられています。

 この非感染性疾患対策の目標について、当初WHOは、成人1人当たりの純アルコール換算を10%削減するという目標を提示しました。

 業界はこの目標は適正飲酒者まで規制の対象とすることとなり、問題なのはアルコールそのものではなく、アルコールの有害な使用であるとしたWHOの世界戦略の精神に反するものとして反対しました。ビール酒造組合でも国税庁・厚労省に業界の考えを陳情しました。2012年11月に開催されたWHOの公式会議でこのNCD低減の目標と指標が議論されました。WHOの成人1人あたり純アルコール消費量削減という案は、日本などの反対で否決されました。その結果、目標は「有害な飲酒の最低10%以上の低減」、指標は世界一律のものは設けず、(1)成人1人あたりの純アルコール消費量 (2)成人の多量飲酒の傾向 (3)成人のアルコールに起因する疾病罹患・致死、の3つから各国が国情に応じて選択することになりました。また、この公式会議での合意内容は再度議論されることなく、2013年1月の執行理事会、同5月の総会に諮ることが求められています。

 次に国内では平成17年にスタートした「STOP!未成年者飲酒プロジェクト」を昨年も引き続き展開いたしました。このプロジェクトは、コンビニエンスストア、スーパーマーケット、カラオケスタジオ業界に従来から参加協力いただいていることもあり、キャンペーン認知率は継続して8割を超えております。

 毎年、未成年者が接触する媒体として有効なものは何か、ということで新たな取り組みを続けております。パソコンでの接触も重要という観点から、インターネット上にクイズ形式のバナーを貼ることでビール酒造組合ホームページの未成年者飲酒の防止や適正飲酒を啓発する項目を紹介し、また屋外ビジョンやトレインチャンネルなどを組み合わせて効果的な告知ができるよう工夫をしてきております。

 もう一方の啓発活動である「未成年者飲酒防止ポスター・スローガン・学校賞募集キャンペーン」は、第11回目の今回も多数の応募をいただきました。 生徒、学校、地域社会が手軽に自ら取組める活動として、今後も参加者を増やしていきたいと考えております。

 また適正な飲酒という観点では、飲酒における適量を知ることや、妊産婦の飲酒防止、飲酒運転禁止などいくつもの重要なポイントがあります。ビール酒造組合では啓発冊子「適正飲酒のススメ」を加盟各社の協力のもとで制作しました。学校や家庭での学習にお使いいただけるものと思います。

 これらのようなビール業界の自主的な適正飲酒啓発活動を極めて重要なものと認識しており、今後も継続的に推進してまいります。

9型ビールPパレット共同使用会(通称 Pパレ共同使用会)

 Pパレ共同使用会は、平成5年にビール4社での共同使用を開始し、平成16年2月に共同使用会として発足しました。現在では、ビール4社・日本酒・焼酎メーカーを中心に58社が加盟しております。パレットの共同使用による効率化を目的に平成23年度は35,788千枚のパレットが製品出荷に使用されています。

 またパレットの流通実態や使用実態の調査を行うとともに、会に加盟せずにパレットを使用している企業や組織に対しては、無断使用の禁止やパレット返還の申入れを行う等、パレットの流出防止に取組んでおります。その結果パレットの回収率も99%台を維持しております。

 一方でパレットの回収率は年々低下傾向にあり、平成23年度の回収率は99.01%、出荷と回収の差異枚数は35万枚強に達しております。差異枚数は年々拡大傾向にあり、一層の流出防止・回収促進の対策を講じることが急務となっております。

 その対策として、本年はPパレ共同使用会の組織強化や、パレットの流通経路を確実に把握するための仕組み作りに向けた取組みを行ってまいります。引続き「Pパレ共同使用会」の活動を充実させ、パレット流出防止対策を強化して一層の物流効率化に取組んでまいります。

環境問題への取組み

 ビール酒造組合は、日本経団連の低炭素社会実行計画および環境自主行動計画(循環型社会形成編)に参画しております。本年から始まる温暖化防止対策としての低炭素社会実行計画は、2020年のCO2排出量削減目標を定めており、加盟5社全体で、2011年において1990年比50%を超える削減をすでに達成しています。多品種少量生産が進む中で、CO2削減を更に推進していくことは、メーカーにとって厳しいものがありますが、低炭素社会の実現に向け、削減努力を継続することで、引続き産業界全体のCO2削減に貢献してまいります。

 環境自主行動計画の取組みとしましては、加盟各社の工場で発生する副産物や廃棄物の再資源化率100%をすでに達成しており、今後もこれを継続すべく努力を継続してまいります。容器環境の取組みとしましては、食品容器環境美化協会、日本容器包装リサイクル協会、および3R推進協議会に加盟し、「容器包装の3R推進のための自主行動計画」に沿った活動を継続します。また本年より容器包装リサイクル法の見直しに向けた審議が始められようとしており、ビール酒造組合はビールびんの回収促進等、容器環境関連の取組みを継続してまいります。

醸造技術の向上と国際化

 ビール酒造組合では、「国際技術委員会(BCOJ)」を組織し、ヨーロッパの醸造学会(EBC)やアメリカの醸造学会(ASBC)を中心とした諸外国の技術者との国際交流を促進してきました。また、ビール大麦育種検討会、各社製品の相互試飲会、各種講演会等の場を通じ、ビール醸造技術の向上と品質保証に関る分析技術の整備、先端情報の共有や技術者同士の交流を深める活動にも注力しております。2012年もビール酒造組合加盟各社は、世界のビール関連学会において、合計26件の最先端の研究成果を発表し、日本の高度な醸造技術をアピールしました。平成3年からの累計では、口頭発表で297件、ポスター発表で223件、合計520件の研究発表を海外で行い、世界のビール醸造技術の向上に多大な貢献を果たしてまいりました。

 本年は、昨年の共同実験「HPLCによるビール類中の総プリン体の定量」の成果をアメリカ・アリゾナ州で開催されるASBC年次大会で発表します。

 BCOJ年次大会は、11月7日~8日の2日間、千代田区の星陵会館で開催し、海外発表の再演を行います。約400名の参加者を見込んでおります。

 今後もこうした活動を通じて、日本のビール醸造技術の更なる発展・向上、そして国際レベルでの中心的な地位確立を目指してまいります。

安心・安全と原料品質向上への取り組み

 ビール酒造組合では、原料である大麦、ホップから最終製品に至るまで、法令の遵守はもとより、さらなる品質の向上と安全性の確保を最重要課題として捉え、引き続き活動を推進いたします。国産ビール大麦につきましては、ビール品質にとって重要なタンパク質含量の適正化、品質保証体制の向上、優良品種育種活動等、加盟各社や大麦生産者、各研究機関、関係省庁と連携を密にし効率的に活動を推進してまいります。国産ホップにつきましては、農薬の「ポジティブリスト制度」を確実に遵守し、ホップ生産に必要とされる農薬が遅滞無く利用できるよう、農薬メーカーやホップ生産者、関係省庁と連携し活動してまいります。これからもお客様にさらなる「安全と安心」をお届けできるよう加盟各社とともに、全力で取り組んでまいります。

 以上のように、ビール酒造組合はビール本来の美味しさ、楽しさをたくさんのお客様にお伝えすることにより、一人でも多くの方々にビールをご愛飲いただけるよう努めるとともに、業界の健全な発展に向けた活動を継続してまいります。

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